篳篥(ひちりき)

HICHIRIKI

觱篥とも書き、雅楽の合奏では主旋律を担います。歌うように自由に演奏できることから、歌曲の伴奏にも用いられます。

音域は約1オクターブと非常に狭く、微妙な口の位置や息使いにより、ひとつの指孔から四度、五度(ド〜ソ)の音が出ることから非常に不安定な楽器です。

しかし古来の人は大地の音、人々の声と称したように、篳篥に自らの心の揺らぎや、命の儚さを重ね、演奏していたのではないでしょうか。



篳篥の構造

管:長さ約18cmの竹製の管で、太さは上端で約1.5cm、下端で約1cm、前面に七つ、裏面に二つ孔が空いており、管の表面には樺皮(桜の皮)を巻いて漆塗を施してあります。

廬舌(ろぜつ):舌ともいい、西洋楽器でいうリードにあたります。「葦(よし)」を約6cmに切り、専用のコテでひしぎ、薄く削った後、世目と呼ばれる籐で作った紐状のもので締めて音を鳴らします。

古来より、大阪高槻市にある鵜殿で採れる「葦(よし)」が最良といわれています。


古代西アジアに起った「有舌縦笛」で、ペルシャに発し、シルクロードを通って東に伝わってきました。




伝来の流れ

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(国名)…(楽器名)
エジプト…アルグール(Arghool)

アラビア、イラン地方…スールネイ(Sournay)

インド…ソナイ(Sonai)

中央アジア、中国(漢)…哨吶(サノウ)

日本(奈良朝時代直前)…篳篥(ひちりき)

日本伝来

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日本に伝来したのは奈良朝の直前で、大宝二(701~704)年に雅楽寮(うたまいのつかさ)という、いわば雅楽専門の部署が制定されました。正倉院には当時の篳篥が保存されています。

平安時代には管弦の制というのが定められ、左方の唐楽(中国系)にも右方の高麗楽(朝鮮系)、共に篳篥が用いられることになりました。

もともと朝鮮半島伝来の楽器に篳篥はなく、高麗樂では莫目(まくも)という縦笛を用いていました。

しかし、篳篥に比らべ性能が劣るということで高麗樂にも篳篥を用いることになったようです。

また篳篥には大小二種ありましたが、この頃に小篳篥だけを用いることとし、これが今日まで演奏されている篳篥です。